中国、自由貿易区内でステーブルコインの試験運用開始を検討

中国が自由貿易区内でステーブルコインの試験運用を検討

世界的なステーブルコイン規制が形になりつつある中、「中国の解決策」は自由貿易地域で試験的に導入される可能性がある。

中国は、前海と海南の自由貿易区において、国境を越えた決済と監査に焦点を当てたステーブルコインの試験運用を検討している。財経が発表した提案によると、中国は特定の自由貿易区内でステーブルコインの限定的な運用実験を検討。この計画は規制当局によるものではなく、中国本土の資本規制を維持しながら国境を越えた決済の可能性を探ることを目的とした学術的な政策提言を反映している。

この提案は、ステーブルコインの実験が厳重に管理されていれば、貿易決済と金融イノベーションを促進できると主張しており、自由貿易区は、規制当局が既に外国為替や国境を越えた金融に関する改革を試験運用している管理された環境であると指摘している。提案者は、いかなる試験運用も国内の個人ユーザーを排除し、中国本土におけるオープンな流通を回避することになると強調している。

自由貿易区をテストベッドとして指定

この構想は、中国政府が仮想通貨に対する警戒感を強めている中で浮上しており、規制当局は、違法な資金や資本逃避に関連するリスクについて繰り返し警告している。

2025年5月21日、香港立法会はステーブルコイン法案を可決し、同年8月1日に正式に施行。これにより、香港は法定通貨ステーブルコインのライセンス制度を有する世界でも数少ない主要金融センターの一つとなり、「アジアの暗号金融ハブ」としての香港の復活に向けた重要な一歩となった。この流れに乗れることで中国は、人民元の国際化を拡大するための新たなメカニズムを構築できると考えられている。また、中国本土も、ステーブルコインのクロスボーダー決済への応用を模索することに重点を置き、慎重に試験的な取り組みを進めるべきだと考えている。

報告書は、前海FTZ（前海自由貿易区）と海南FTZ（海南自由貿易港）を最初の候補地として挙げており、両地域では既に、クロスボーダー金融のパイロット事業やオフショア市場との連携が行われている。現地の金融当局と外国為替規制当局が監督する閉鎖型の規制サンドボックスの設置が提案されており、香港との連携により、ステーブルコイン発行者のライセンス制度との整合性を図ることができるとみている。

ステーブルコインは既に中国の輸出入貿易のいくつかの場面で役割を果たし始めており、分散化、P2P（ピアツーピア）取引、低コスト、高効率といったブロックチェーン技術の利点を備えている。国際貿易において、為替レートの変動が大きく米ドルが容易に入手できない国や地域との取引において、ステーブルコインは国境を越えた決済という現実的な応用が可能だ。ステーブルコインが不安定な地域との国境を越えた貿易取引における安定した決済の問題を効果的に解決し、国境を越えた決済の重要なツールとなっている。

人民元ステーブルコインが中国の対外貿易における特定のシナリオにおいてクロスボーダー決済に利用できれば、人民元国際化の影響が拡大し、既存の人民元クロスボーダー決済メカニズムを補完することになるだろう。