2026年を前に、資産運用会社VanEck(ヴァンエック)のCEO、Jan van Eck(ヤン・ファン・エック)氏は、慎重ながらも前向きな見方を示している。財政面での進展は実在し、市場は徐々に均衡を取り戻しつつある。
しかし、AIの進化、信用環境の引き締まり、政策の変化が続く中で、選別の重要性はこれまで以上に高まっているという。
こうしたマクロ環境を踏まえ、ヴァンエックのマルチアセット責任者David Schassler(デイビッド・シャスラー)氏は、は2026年に向けた市場の大きな流れを整理している。
市場を動かす3つのメガテーマ
シャスラー氏は、2026年に向けた市場を動かす軸として、3つのメガテーマを挙げる。
1つ目は技術革命だ。
AIは「構築フェーズ(フェーズ1)」から「実装・収益化フェーズ(フェーズ2)」へ移行しつつある。これまで市場が評価してきたのはスケールや物語性だったが、今後は巨額のAI投資に対するROI(投資収益率)が問われる。
この移行は市場にとって不都合な現実を突きつけるが、技術革命においてボラティリティは欠陥ではなく、機会だとシャスラー氏は見る。
2つ目は、「旧世界の資産」が新しい世界を支えるという構図だ。
AIインフラ、エネルギー転換、リショアリング(生産拠点の国内回帰)を背景に、天然資源株やリアルアセット(実物資産)関連が静かな強気相場に入っている。実際、これらの資産は今年、ナスダック100を上回るパフォーマンスを示している。
シャスラー氏は、この動きを10年単位のリアルアセット・スーパーサイクルの初期段階と位置づける。
3つ目は、通貨価値の希薄化(デベースメント)だ。
過去の負債と将来の成長投資を賄うため、各国は目に見えない形で通貨価値を削っていく。そのリスクに対するヘッジとして、希少資産の重要性が高まる。
ゴールドとビットコイン
ゴールドは2025年、主要資産の中で最も強いパフォーマンスを示しており、その勢いは2026年に5000ドルまで続く可能性があるという。
注目すべきは、ゴールドがこれまでの「安定資産」から、ボラティリティを伴う成長資産へと性格を変えつつある点だ。
一方、ビットコインは年初来でナスダック100を約50%下回っている。この乖離こそが、2026年に向けてビットコインがトップパフォーマーとなる舞台を整えているとシャスラー氏は見る。
ビットコインの現在の弱さは需給と流動性の一時的な問題であり、デベースメントが進めば、ビットコインは歴史的に強く反応してきた。ヴァンエックはすでに、買い増しを進めているという。
|文・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
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