著名投資家の田端信太郎氏が、イーサリアム
ETHの購入・保有戦略を掲げる上場企業TORICO(トリコ)の資金調達手法を痛烈に批判した。同社アドバイザーで、モバイルゲーム会社gumi(グミ)の創業者の國光宏尚氏が、増資によるイーサリアム購入について「株主価値は毀損しない」と主張したことに対し、田端氏はファイナンスの常識を欠いた暴論だと断じている。
議論の発端は、トリコが発表した40億円規模の増資と、その資金全額をイーサリアム購入に充てる計画だ。國光氏はSNSで、調達した現金は事業投資や赤字補填には使われず、同額のイーサリアムに変わるだけだと説明。増資で株数が増えても「理論上一株あたりの資産価値は減らない」と強調していた。
これに対し田端氏は、株式投資の基本指標である「一株当たり利益(EPS)」の観点から真っ向反論した。企業の利益水準が変わらないまま株数だけが増えれば、一株ごとの利益は薄まり株価下落の要因となる。國光氏の主張は、株主が被る「利益の希薄化」という本質的な問題を無視しているとした。
また田端氏は、暗号資産(仮想通貨)特有の価格変動リスクも指摘する。購入後にイーサリアム価格が下落すれば、企業の純資産は減少し、國光氏の言う「資産価値」も毀損する。「価値は減らないので安心」との断定について、同社と契約関係にあるアドバイザーという立場を踏まえれば、金融当局から問題視されかねない発言だと指摘した。
トリコの戦略は、ビットコイン
BTCを保有する米ストラテジーや日本のメタプラネットに追随するものだ。しかし田端氏は、先行するメタプラネットがすでに含み損を抱えている事実に言及。「暗号資産トレジャリー」という物語はすでに陳腐化しており、今回の施策は「画質が落ちた劣化コピー」に過ぎないと酷評した。
投資合理性の面でも田端氏は疑問視する。イーサリアムへの投資を望むなら、投資家が直接現物を購入すれば済む。同社がイーサリアムを保有して得られる報酬が、株主の期待リターン(資本コスト)を上回る根拠もない。あえて同社株を経由するメリットは乏しく、直接投資の方が合理的との見方だ。
田端氏は、國光氏がかつてグミ上場時に「時価総額8兆円」を掲げながら直後に下方修正し、「上場ゴール」の代名詞となった過去にも言及。今回の施策も話題作りや短期志向の演出(イナゴタワー建設)の域を出ないと分析した。過去の実績や現状の株価低迷を踏まえ、投資家に対し安易な同調を避け、冷静に判断するよう求めている。
上場企業を通じた暗号資産投資は、投資家にとって「二重のリスク」となる。企業固有の経営リスクと暗号資産の価格変動リスクを同時に負うからだ。単にイーサリアムへのエクスポージャーを持ちたいなら、直接現物を購入する方が、増資による希薄化や倒産リスクを回避でき、コスト面でも合理的と言える。
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