この記事の要点
まずはステーブルコインを詳しく
ミネアポリス連邦準備銀行総裁のニール・カシュカリ氏は2026年2月19日、ノースダコタ州ファーゴで開催されたサミットで講演し、仮想通貨を「全く役に立たない」と断言したうえで、ステーブルコインについても否定的な見解を示しました。
カシュカリ氏は米連邦準備制度を構成する地区連銀の総裁であり、銀行預金を基盤とする金融仲介機能の一端を担う立場にあります。
仮想通貨やステーブルコインの普及が預金構造に影響を及ぼし得る中での発言として、市場ではその背景や意図を含め様々な受け止めが広がっています。
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カシュカリ氏は聴衆に対し「先週ChatGPTやGemini(ジェミニ)などのAIツールを使った人は手を挙げてほしい」と呼びかけ、続いて「ビットコイン(BTC)を売買した人は手を挙げてほしい」と促しました。
両者の反応の差をその場で示したうえで、「仮想通貨は10年以上存在しているのに全く役に立たない。AIは登場してさほど経たないのに毎日使われている」と述べました。
AIについては、今後5〜10年で生産性を押し上げ得るとの見通しも示しました。
またカシュカリ氏は、ステーブルコインについて「Venmo(ベンモ)でできないことを、ステーブルコインは本当に実現できるのか」と問いかけました。
米国で広く利用されている個人間送金サービスのVenmoや、オンライン決済大手のPayPal(ペイパル)、銀行間の即時送金網であるZelle(ゼル)などが、既にほぼリアルタイムで送金を実現していると指摘しています。
ステーブルコインの利点を巡る説明については具体性を欠くとして、「バズワード・サラダ(流行語を並べただけで中身が伴わない説明)」と表現しました。
有力なユースケースとされる国際送金についても言及し、義父がフィリピンにいる例を挙げながら、ステーブルコインを受け取っても最終的に現地通貨への換算コストが発生することや、現地の店舗が対応していなければ日常の買い物に利用できない点を指摘しました。
同氏は「世界中が同じ決済プラットフォームを使えば摩擦はなくなるが、各国が自国の金融政策を放棄することはない」とも述べ、グローバル普及論を否定しました。
さらに同氏は、制度面への影響にも言及しました。
カシュカリ氏は、ステーブルコインが普及し預金が銀行システムの外へ移動すれば、銀行が市場へ貸し出せる資金が減少し、地域経済の融資に影響が及ぶ可能性があると述べています。
預金が銀行の貸出原資であり金融仲介機能の中核を担っていることを踏まえ、預金流出が貸出余力を損ないかねないとの懸念を示しました。
地区連銀総裁として銀行システムの安定に関与する立場からの発言であり、ステーブルコインの拡大が預金構造に与える影響への警戒感を示した形です。
こうした見解は、金融安定の観点からの慎重姿勢として受け止められる一方で、既存の預金・貸出モデルとの関係を踏まえた発言とも受け止められています。
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カシュカリ氏の発言と対照的なのが、FRB(連邦準備制度理事会)のクリストファー・ウォーラー理事の立場です。
ウォーラー理事は2025年9月の講演で「ステーブルコインは米国決済の未来に不可欠だ」と積極的な評価を示しており、同じ組織の中でも見方は一致していません。
米国ではステーブルコインを巡る制度設計の議論が続いており、当局者による評価も分かれています。
今回のカシュカリ氏の発言も、こうした議論の延長線上にあるものと受け止められており、「実用性への疑問」と「金融システムへの影響」を巡る論点は、ステーブルコイン規制の方向性と並行して議論が続いています。
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Source:ミネアポリス連銀動画
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