● BTCの取引所残高は減少を続け、売却可能な供給は徐々に縮小。
● ATH後、ETF保有量は減少し、機関資金の流出が価格調整と整合。
● 直近ではETF流出が鈍化しており、市場構造の変化の兆しも観測。

現在のビットコイン市場は、過去最高値(ATH)更新後の調整を経た「構造再評価フェーズ」にある可能性がある。方向性としては短期的にやや弱気寄りだが、供給構造の一部では売り圧力の緩和を示す動きも観測されている。

本稿では、BTCの「取引所残高(Exchange Reserves)」と「ETF保有量(ETF Holdings)」の関係に注目する。これら2つの指標は、ビットコイン市場における供給側の状況と機関投資家の需要を同時に観測できるため、市場構造を理解する上で重要なデータとなる。

CryptoQuantのデータ(グラフ提供:CryptoQuant創業者 Ki Young Ju)によると、2024年後半以降、ビットコインの取引所残高は緩やかな減少トレンドを続けている。取引所残高の減少は、市場で即時売却可能なBTCの供給が減少していることを意味する場合が多い。一般的にこの動きは、長期保有や自己保管への移動と関連するケースが多く、短期的な売り圧力が徐々に弱まっている可能性を示唆する。

一方で、ETF保有量にはより重要な構造変化が見られる。ビットコインが過去最高値を更新した局面の後、ETF保有量は明確な減少トレンドに転じている。現物ビットコインETFは実際のBTCを保有するため、資金流入・流出は市場の需給構造に直接的な影響を与える。ETFからの資金流出が続く局面では、機関投資家の需要が弱まり、結果として価格の上値が抑制されやすい構造になりやすい。

ただし直近のデータを見ると、このETF流出の動きはやや落ち着きつつある。ETF保有量の減少ペースは鈍化しており、短期的には流出が停止している可能性も観測されている。この変化は、機関投資家のポジション調整が一巡しつつある可能性を示す初期シグナルとして解釈することもできる。

ただし、この構造が明確なトレンド転換を意味するかどうかは、まだ判断が難しい段階にある。もし今後、ETF保有量の減少が再び加速する場合、機関資金の流出圧力が再び市場に影響を与える可能性がある。

この見方は、エックスウィンリサーチが2026年1月12日に公開した分析「ETF平均取得価格が示す構造的分岐点──方向感を失ったビットコイン市場の現在地」で示したフレームワークとも一定の整合性を持つ。当時の分析では、ETFの平均取得価格と資金フローがビットコイン市場の構造的な転換点を示す可能性があることを指摘していた。結果として、ATH後のETF保有量の減少と現在の流出鈍化という動きは、機関資金が市場構造を左右する重要な要素であることを改めて示している。

現時点では、取引所残高の減少による供給圧力の緩和と、ETF流出の鈍化という2つの要素が同時に観測されている。現時点では需給の再調整が続く局面がベースシナリオ。ただしETF保有量が再び明確な増加トレンドに転じる場合、この見方は見直す必要がある。

オンチェーン指標の見方

黒線は「取引所残高」で、取引所に保管されているBTC量を示し、減少は市場に出回る売却可能な供給の縮小を意味します。青線は「ETF保有量」で、現物ビットコインETFが保有するBTC量を示し、機関投資家の資金フローを反映します。ATH後はETF保有量が減少しており、機関資金の流出が価格調整と時間的に一致しています。直近ではETF流出が鈍化する一方、取引所残高は低下傾向を維持しており、需給構造の変化が観測されています。

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提供:インベスコ・アセット・マネジメント株式会社