シンガポールを拠点とする資産運用サービス企業Penguin Securities Holdingsが、プレシリーズAラウンドで累計約28億円(約1800万ドル)の資金調達を完了した。ユナイテッドやmintなど複数の投資家が参加した今回の調達により、同社は暗号資産と株式・債券などの伝統的金融商品を一元管理する独自のプラットフォームをさらに強化する。富裕層やファミリーオフィス向けに専任担当制のプライベートバンク型サービスを展開し、日本市場への本格進出も視野に入れている。
Penguin Securities Holdingsは2月4日、プレシリーズAラウンドにおいて第三者割当増資を実施し、累計資金調達額が約28億円(約1800万ドル)に達したことを明らかにした。今回の調達には、mint(mint startup fund2号投資事業有限責任組合)、東京理科大学インベストメント・マネジメント、サードウェーブ・フィナンシャル、中島董商店、ユナイテッドに加え、複数の個人投資家が参加した。
同社は2023年2月の設立以降、デジタル資産と伝統金融資産の両方を横断的に扱う総合資産運用サービスを構築してきた。川辺健太郎共同創業者兼CEOは、適格投資家や富裕層を対象に、顧客ごとに専任担当を配置するプライベートバンク型のサービス体制を整備している。シンガポール金融管理局(MAS)から資本市場サービス(CMS)ライセンスを取得後、株式・債券・ETFなどの有価証券やファンド商品のラインアップを拡充してきた。
従来の資産運用業界では、デジタル資産を扱う事業者と伝統的金融商品を扱う事業者が分断されてきた。Penguin Securities Holdingsは両資産クラスを統合的に管理するプラットフォームを提供することで、富裕層が求める包括的な資産管理ニーズに対応している。CMSライセンス取得後は、暗号資産デリバティブ商品と伝統的金融商品を組み合わせた新商品の開発を進めている。
同社は調達資金を活用し、モバイルアプリの展開も計画している。口座開設やKYC(本人確認)、運用指示、残高確認などをテクノロジーで自動化・セルフサービス化することで、運用プロセスや投資判断のスピード改善を目指す。アジアでは投資判断の時間短縮化が進んでおり、資産管理の手軽さと柔軟性を両立したデジタル体験の提供が競争優位性の鍵となっている。
ユナイテッドは同社の独自性のあるサービス設計と、金融・規制・プロダクトに精通した経営チームを評価し、出資を決定した。ユナイテッドの投資事業は自己資金による柔軟かつスピーディーな意思決定を特徴とし、インターネットビジネス黎明期から20年以上にわたりベンチャー企業への投資実績を持つ。
今回調達した資金について、Penguin Securities Holdingsは人材採用とシステム開発を通じた運営体制の強化に充てるとしている。さらに暗号資産と伝統金融商品を融合した新たな金融商品の開発を進めるほか、日本国内市場への展開も計画している。
日本では金融庁による暗号資産規制の整備が進む一方、機関投資家や富裕層による暗号資産への関心は高まりを見せている。シンガポールで培ったノウハウを日本市場に適用できるかが、同社の今後の成長を左右する要因となりそうだ。ユナイテッドは投資先企業の成長支援に向け、長年の事業運営・投資経験により培った事業・組織運営ノウハウの提供や資金調達支援を行うとしている。

